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パール染色✕ムラカミブッサン インタビュー・体験

8月の特集は、パール染色✕ムラカミブッサン

わざどころPON、2021年8月は、パール染色株式会社(以下、パール染色)ととムラカミブッサンのコラボ特集をおこないます。パール染色からは、縫わずに貼るだけでオリジナルポーチなどが作れるキットの販売と、これからはじまる場所&機械貸しサービスを紹介します。立体的に見える素材がプリントされた布は、切って貼るだけでポーチなど小物が作れるすぐれもの。縫わないので子どもでも扱いがらくで、夏休みの自由研究にも最適。場所&機械貸しサービスは、クラスTシャツなどを仲間でつくることを想定していて、自分でデザインしたロゴで版を作成、プロのアドバイスのもと自らプリントします。ムラカミブッサンからは、南丹非公式ロゴのTシャツなどが販売されます。

会期中の8月28日(土)には、 パール染色のプリントが体験できるイベントを開催します。用意される柄を組み合わせて、Tシャツや手ぬぐいにプリントができます。

柄の中には、ムラカミブッサンの南丹市非公式ロゴもあるので、好みの柄でオリジナルのアイテムを作成してみましょう(詳細は記事の最後に記載)。記事後半では、パール染色でのプリント体験をレポートしているので、参考にしてみてください。

あの有名ブランドのプリントも!?「パール染色株式会社」

同社は南丹市園部町、川が流れ緑が豊かな地に工場を構える、布地へのプリントに特化した会社です。プリント職人であり社長の林 宏樹さんを筆頭に、6名のスタッフでものづくりを支えています。

昭和40年、京都市内で創業したパール染色は、工場拡大のため昭和44年に園部に移転し現在にいたります。創業から手捺染という手法で、水性や油性の顔料を使ってプリントをしています。捺染(なっせん)とは、顔料に接着剤を混ぜて染める技法で、顔料がにじまずクリアに染色できるのが特徴。印刷やプリントゴッコに似た原理で、使う色ごとにシルクスクリーンの版をつくり、染め重ねていきます。

1色なら版は1枚ですが、2色使うなら2枚を版を使い、2回プリントをするといった具合に、色が増えるたび版の枚数とプリント回数が増え、手間がかかります。それでもパール染色は、機械化せず手でプリントをする「手捺染」にこだわっています。手捺染で行うことで、生地にしっかり顔料が刷り込まれ、にじまず深い色あいが表現でき、捺染の良さがいかされるのだそう。また、機械では対応しづらい繊細な加工や希望にも応えることで、手工業にしかできない商品展開を実現しています。

パール染色では、人気ブランド「SOU・SOU」の”SO-SU-U柄”をはじめ、大手ブランドのプリントを数多くてがけています。パリコレで発表する衣装のプリントを依頼されることもあり、確かな技術が評価されています。「街で自分がプリントしたものを見かけると、うれしくやりがいがある」とはスタッフの声。みなさん誇りをもって作業されています。

工場には長さ50mの捺染台があります。他社では25mが主流で、この長さの台があるのは京都で唯一。プリントはヘラを使い一気に行いますが、ヘラへの力の入れ方や角度で染まり方が決まります。また、温度や湿度によって染まり方が変わるそうで、条件の見極めも大事。染め直しができないので、集中して作業に取り組みます。手際よくプリントしていく職人さんも、お客さまの希望通りインクを配合し色をつくる職人さんも、それぞれが高い技術をもち、高品質な商品づくりを心がけています。

わかりやすい作業風景動画がYouTubeにありますのでご覧ください

勝手にご当地アパレルがおしゃれ!ムラカミブッサン

ムラカミブッサンは、八木町で生まれ育った村上裕紀さんが、2020年夏に立ち上げたブランドです。もともとアパレルに興味があり、自分のイメージするものを他の人につくってもらっていましたが、自分でデザインがしたくて、わざどころPONのIllustrator教室に通い操作を学びました。以来、自分が好きな趣味やモノから影響を受けて、南丹市をイメージした商品づくりをしています。

看板商品は「南丹市非公式ロゴ」「勝手にご当地アパレル」のパーカーやTシャツ。アメカジを思わせる、オリジナルデザインが目をひきます。八木の景色を図案化したイラストや「N.T.C YAGI」「LOCAL SELECT MARKET」「good communication」のロゴなど、八木町をカッコよく表現しています。よく見ないと南丹や八木とわからないデザインがおしゃれで、地元愛をさりげなくアピールするのにもってこい!

目標は「NTC(南丹市)」から良いものを発信し、衣食住がつながり注目される地域にすること。住みたいと思ってもらえるよう、おしゃれでユニークな活動に取り組んでいます。

パール染色の一角で、いざプリント体験!

それではTシャツのプリント体験の様子を紹介します。7月某日、パール染色の一角をお借りして体験をしてきました。作業をおこなったのは、南丹ガールのイメージモデル・なんこ。道具はプロの現場で実際に使われているもので、初めて目にするものばかり。はじめは緊張していたなんこですが、スタッフさんのわかりやすい説明で、うまくプリントすることができました。工程はざっと次のとおり。

①プリントしたい柄とインクを決める
②使わない柄にマスキングテープを貼る
③台に生地を平行に置き、プリントしたい場所に版をセット
④使うインクを柄の上に乗せ、ハケでなぞるようにプリント
⑤版をはずしプリントができていることを確認
⑥確認ができたらドライヤーで乾かして完成
⑦版についたインクは、水でキレイに洗い流す(インクに接着剤が含まれているため、放っておくと固まってしまうため早めに洗う)

※インクが服についてしまうと落ちないので、汚れてもよい服またはエプロンや作業着などを用意してください。

まずTシャツのどこに、どの柄をプリントするか考えます。柄が決まれば、使わない柄にマスキングテープを貼ります。版にはいくつも柄が配置されているので、プリント間違いを防ぐためです。テープを貼り終えたら、使いたいインクを選びますが、白いTシャツなら、淡い色よりはっきりした色が映えておすすめとのこと。なので今回は、ロゴを黒でプリントして、色の柄を入れてアクセントをつけることにしました。実際に仕事で使われているものをお借りしましたが、たくさんの色があってめっちゃ迷いました!

はじめにムラカミブッサンの「LOCAL」を黒色でプリントします。プリントする場所に版を置き、柄の奥にインクをセット、奥から手前にハケで柄をなぞります。ハケを斜め45度の位置に置き、柄にインクを押さえつけるようになぞるのが、きれいにプリントするこつ。ドキドキしながらプリントします。

インクが行き渡り版をはずして確認したら、思っていた以上にくっきりプリントされていてキレイ!乾けば完成なので、作業がはじまれば仕上がりまでが早いです。

次は星をプリントします。あえてLOCALに重ねて、どんな風になるか挑戦しました。黄色い星の下にロゴが透けていますが、想像以上にしっかり黄色が乗りました。

透けることで立体感が生まれ、味が出たように思います。顔料に接着剤を混ぜる手捺染だからなせる技で、クリアにプリントできるのです。星を先にプリントしてあとからロゴを乗せると、ロゴがはっきりして印象が変わりそう。重ねる順番でもイメージが変わるので、いろいろ想像しながらプリントするのが楽しいですね。

細かな星の上に大きな星も配置しました。画像では同じ色に見えますが実はゴールド。角度によってキラキラしていてよいアクセントになりました。色だけでなくラメを入れる亊も可能だそうで、パリエーション豊富なのも手捺染の特徴かもしれません。

星が終わったところで、裾に魚を泳がせてみます。水を表現するために、青やエメラルドグリーンでプリントしました。青色の魚を先にプリントし、乾かしてエメラルドグリーンの魚をプリントします。魚も立体感を持たせるため、重ねてプリントしてみました。同系色だからか先にプリントした青が目立たず、エメラルドグリーンがしっかり重なっています。発色のよいインクを作る職人さんの技術もですが、素人が作業してもはっきりプリントできる手捺染すごい!しかも乾かせばすぐ作品になりますし、何なら着て帰ることができるぐらいスピーディーなのも良いです。

後ろの上部に黒で「NTC」、乾いてからラメ入りシルバーで花柄をプリントしました。表と雰囲気が違ってカッコいい!花柄は目立たないですが、透かしが入っているようでおしゃれだと思いませんか?

もう1枚、黒Tシャツにもプリントしました。黒には白っぽい色が良いとのアドバイスで、南丹ガールのテーマカラーになっているピンクを選びました。発色の良いインクですが、黒地には乗りにくいそうで、プリント→乾かすの工程を繰り返すこと3回。位置がずれないよう数人で押さえながら慎重に作業をしたので、惚れ惚れするほど美しくプリントできました!重ねプリントは、同じ位置に重ねないと柄がぼやけるので難易度が上がりますが、発色がよりクリアでキレイに仕上がるので、ぜひ挑戦してみてください。

白Tシャツは、表は上部に星を入れて空を、すそに魚を入れて川や海をあらわし、空も水もきれいなLOCAL…という世界をカラフルに表現。黒Tシャツは、表はロゴ、裏は裾にラメ入りシルバーの花柄のみでシンプルにしたので、かっこいい感じに仕上がりました。

はじめはおぼつかない手でおそるおそるプリントしていたなんこですが、慣れてくるとスムーズな手さばきで作業していました。自分で染めたと思えない仕上がりに、よろこびもひとしおでした。比較的簡単に質の高いプリントができるので、ものづくりが好きな人は特に、そうでない人も満足できるのではないでしょうか。ネットで簡単に発注できる時代ですが、あえて手をかけて作る苦労や達成感を、南丹で味わってほしいと思います。

 

パール染色では多色プリントに対応できるよう、位置を決めてプリントできる機材が用意されていて、場所&機械貸しサービスで利用できます。サービスの詳細はこれから決まりますが、プリントしたい柄のデータをあらかじめパール染色に送り版を作成、プリント前に動画で作業内容を確認して、自分たちでプリントする形になるとのこと。興味のある方は問い合わせてみてください。

【会期内イベント・オリジナル柄のTシャツor手ぬぐいづくり】

用意される好きな柄を組み合わせて、手捺染プリントが体験できます。ムラカミブッサンの南丹市非公式ロゴもプリント可能。

開催日時:2021年8月28日(土) 10〜15時(めえめえマーケット同時開催)
開催場所:わざどころPON
所要時間:30分〜1時間程度(予約優先)
体験料:3柄まで2,000円、以後1柄増えるごとに+500円
材料費:Tシャツ1枚1,000円、手ぬぐい1枚300円
※生地の持ち込みもOKですが、撥水性のない綿100%のものをご用意ください。
※インクが服につくと取れないので、汚れてもよい服またはエプロンや作業着などでおこなってください。

パール染色×ムラカミブッサン 特集展

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