愛らしい玩具作りの裏側
糸鋸(いとのこ)を使用して、木工玩具を作っていらっしゃるひよことパンダの木工店。
その玩具はお子様が安心して使用できるよう、楽しく使えるようにたくさんの工夫が凝らされていて、どれも素敵な作品ばかりです。今回はひよことパンダの木工店の川崎さんのものづくりについて紹介します。
おもちゃができるまで
川崎さんは新しいおもちゃを作る際、まずは、ノートにたくさんラフでスケッチをし、その後で試作をするそう。一つのおもちゃで3から4パターンの案を作り、何個も試作を重ね、実際に作ってみて難しさや見た目などを確認していくんだとか。
また、完成した作品はまず、川崎さんの息子さんに渡して実際に使用してもらっており、息子さんからの反応を見て少しずつおもちゃの改良をしていきます。お子さんからの反応は素直で「可愛くない」と言われてしまうこともあるんだとか。
ちなみに、川崎さんが子ども用のおもちゃを作り始めたのも、お子さんが生まれてからだそうです。ご自身で作ったおもちゃをお子さんにあげたのがきっかけでした。
販売し始めてからも子供たちが使って心地よいものを常に目指し、おもちゃ自体や作り方の改良を行っているため、同じおもちゃでも最初に販売したものと現在販売しているものとで形が少し違うおもちゃもあるそうです。
↓こちらの写真は初期のおもちゃと現在のおもちゃを比較した写真です。(真ん中の二つが現在のおもちゃです。)
おもちゃのアイディアは海外の木工作品やFacebookで他の方が作っている糸鋸の木工作品をたくさん見て着想を得ており、そこから子供たちがおもちゃとして使いやすく強度のあるデザインを考えていくそう。
捨てるものがないものづくり
「ものを作っていく中で、そつがないようにものづくりをしたい。無駄が無く捨てるものを減らせるようにデザインを考えたり、素材として端材を使用したり、なるべくゴミが出ないように心掛けている」と仰る川崎さん。
ひよことパンダの木工店ではおもちゃの素材として、ヒノキを使用することが多く木材屋さんで購入することもありますが、川崎さんの知人の宮大工さんから端材を頂いたり、地元(亀岡市畑野町)の木を伐採して木材にし使用することもしています。
地元の木材は毎年10月頃に住宅地で困った場所に生えていたり、倒れたら危険な場所に生えている(外部不経済)木を選び、早ければ1月頃に伐採をし工房で3年ほど寝かせ、そこから作品用にブロック状にしたり使いやすい形にしてストックをするそうです。
また、作品作りの過程でどうしても出てしまう端材は「有効活用して欲しい」と、子どもたちの夏休みの自由研究体験を行っている施設に譲ったり、ご自宅で年末に行う餅つきの際に使用したりと、工房で出る端材も無駄にしないように活用しているのだとか。
素材を入手するところから、作品の製作過程に至るまで捨てるものが出ないようにという思いは大切ですね。
ものづくりのこだわり
「おもちゃを使う子たちの年齢を考え作っています」と仰る川崎さん。
使う材料、研磨、塗装等々、何度も何度も確認しながら製作をしていらっしゃいます。
そして、ひよことパンダの木工店のおもちゃは対象年齢によって使用している塗料が違います。
何でも口にする0歳児が使用するおにぎりのガラガラなどは塗料としてキヌカという米糠から作られたものを使用しています。
このキヌカは安全性が高く、誤って飲んでも身体に害はありません。アトピーを持っていらっしゃる川崎さんがキヌカのパッチテストを行ったところ肌に異常が出ず、ご自身でも安全性を確認し、信用できると感じたからこそ使用しているそう。
また「おもちゃのメンテナンスについてもっと多くの人に知って欲しい」と仰る川崎さん。キヌカはネット販売で購入でき、無臭で簡単に使用することができるので、おもちゃのメンテナンスも気軽にすることができるそうです。
身体への安全性が高い一方で、塗料としての表面保護の機能性は弱いキヌカ。
なので3歳児など、より年齢の高い子どもたちが使用するおもちゃには蜜蝋(みつろう)を塗料として使用していらっしゃいます。蜜蝋は表面の保護機能がキヌカより高いので、子どもたちが思いっきり遊んでもおもちゃの表面を保ってくれます。
現在はキヌカと蜜蝋を使用されていますが、塗料は毎年様々な商品が出るため、より安全なもの、いいものが見つかったらどんどん試していきたいそう。
子どもたちの安全を守り、心地よく使ってもらうために常に探究していらっしゃるというお話を聞くと、子どもたちやおもちゃへの愛情が感じられますね。
川崎さんのものづくりのきっかけ
「最初はパソコンの修理や教室の仕事の合間にできることをと考え、木工を始めました」と仰る川崎さん。
周りの人から頼まれて階段の手すりの修理などから始めたそう。次第に要望を叶えるだけでなく自分で思いついた雑貨などを作り、手づくり市に出店し販売を始めました。そうしてお子さんが生まれるとおもちゃを作り始め、糸鋸を使用するようになったとか。現在では手づくり市などで糸鋸の実演や体験教室を開くこともあるそうです。
糸鋸おもちゃコンテスト
川崎さんはこれまでに何度も糸鋸を使用して作る作品のコンテストで賞を受賞してきました。
その作品はどれも遊び心と繊細さ、あたたかさが感じられます。(作品はこちらから)
しかし、驚くことに川崎さんは糸鋸を使い始めた当初はホームセンターなどで購入できる市販の糸鋸を使っていたそうです。2009年に長野県で開催された糸鋸おもちゃコンテストで賞を受賞した頃から、本格的な糸鋸を使い始めたとのこと。
木工の楽しさ
木工の楽しさについて「元々ものづくりが好きで、一点ものを作ったり、自分が頭の中で考えているアイディアが形になっていくのは楽しいし、それをコンテストや周りの人が認めてくれたり喜んでくれるのがより嬉しい」と語る川崎さん。
日本には小・中学生が参加できるものづくりのコンテストが少なく、もっと増えたら子どもたちも自分の考えたものを披露する場が増えてものづくりに興味を持つ人が増えるのにと感じておられます。
新しい方法を考えていかなければ
現在、新型コロナウイルスの影響で手づくり市が中止になったり、作品を作る過程でも大きな影響を受けているひよことパンダの木工店。川崎さんは現状について「今までの販路や製作活動と違うアプローチを考えたい」と仰っていました。
大きな影響を受けているのは手づくり市に関わる人や製作活動に関わる人も同じであり、これからはネット販売などの方法だけでなく、色んな人が実際に作品を目で見て購入できる新しい提供の仕方を考えていきたいそう。
ひよことパンダの木工店の商品はこちらからどうぞ
パズル(大)
パズル(小)
おにぎりのガラガラ
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ぞうさんコロコロ
うまさんと一緒