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長岡銘竹株式会社インタビュー

京銘竹を使った竹垣製作といえば長岡銘竹

長岡銘竹株式会社(以下、長岡銘竹)は1966(昭和41)年、竹製品の卸売業として設立されました。工房は大山崎町と亀岡にありますが、ものづくりの大半は亀岡でおこなっています。

工房には竹垣や袖垣の見本が置かれている

長岡銘竹の主なものづくりは、「京銘竹」を使った竹垣の施工や、カトラリーなどの竹製品。中でも竹垣として代表的な「建仁寺垣」を得意としており、桂離宮や松花堂庭園など、名所での施工実績が数多くあります。建仁寺垣の名前は、京都・建仁寺で使われはじめたことが由来と言われています。

建仁寺垣のほか、長岡京市にある勝龍寺から名付けられた「勝龍寺垣(しょうりゅうじがき)」は、古典的でありながらデザイン性が高くモダンなつくり。現代生活にもほどよくマッチします。京町家でよく見かける犬矢来や、玄関脇などの目隠しに使われる袖垣も、長岡銘竹になくてはならない製品です。

和にも洋にもマッチする勝龍寺垣

竹は、切ったままの青い竹と白い竹があります。白い竹は油抜きをおこなったものですが、中でも「白竹・胡麻竹・図面角竹・亀甲竹」を京銘竹と呼びます。

京銘竹は、京都ならではの方法で油抜きをします。竹の表面を火で炙り、中からしみ出てきた油分を綿で拭き取り、天日干しで乾燥させます。そうすることでツヤの良い、しっかりとした竹になります。

ワークショップで使われる、京銘竹の説明

京銘竹は竹垣のほか、建築用、茶道具、民芸品などで幅広く使われますが、美しく丈夫と高い評価を受けています。

京都の竹を、京都ならではの手法で油抜きをしていることから、京銘竹を京都市の伝統産業として、また京都府知事指定「京もの指定工芸品」にも指定されています。

薄くて軽く丈夫な竹カトラリー

長岡銘竹で製作されている竹カトラリー

当店で取り扱う竹カトラリー「en」シリーズが生まれたのは2021年。長岡銘竹で取引しているお店からの提案で製作しました。はじめに「オリジナル2Wayカトラリー」が誕生し、ほかのカトラリーが作られていったそうです。

パッケージは、青竹をイメージしたオリジナルのラッピング。環境に配慮して、化学繊維ではなく紙の包装資材を使用している。

オリジナル2Wayカトラリーは、一方はスプーンのようになっており、プリンなどデザートを食べるのに適しています。もう一方は細くなっており、ナイフのようにも見えます。とりあえず2wayにしてほしいとの依頼のみで、明確な用途はなく細身にしたそうですが、ようかんなど切って食べるものに良さそうですし、バターやジャムも塗りやすそう。使う人のアイディアで、いろいろ活用してほしいそうです。

竹カトラリーは、薄くて軽いのに丈夫。天然素材で自然の温もりがあり、捨てても土に還るのが大きな特徴です。

竹は縦方向に割れやすいものの、横方向には強く欠けにくい性質があります。なので薄くて軽いのに長持ちします。竹カトラリーに京銘竹は使われていませんが、竹の長所は存分に詰まっています。

口に入れた時になめらかなのも、竹カトラリーの良さ。金属製やプラスチック製のカトラリーで感じる、カツンとした違和感がありません。

左・金属製スプーン43g、右・特別な日のカレースプーン10g!

一般的な金属製カレースプーンの場合、重さは43g前後ですが、「特別な日のカレースプーン」はわずか10gで驚異的な軽さ。持つだけで重さの違いはわかりますが、実際計ってみると差は歴然です。

カトラリーが軽いと、小さな子どもやお年寄りだけでなく、介助をおこなう人もストレスなく使えます。これも竹カトラリーの利点と言えるでしょう。
竹の特性を活かした、軽くて丈夫でなめらかな竹カトラリー。暮らしの一部に取り入れてみてください。

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ワークショップも随時開催

長岡銘竹では、ワークショップにも力を入れています。ワークショップは亀岡の工房で随時受けることができ、小人数でも団体でも受け入れ可能。作業前に竹の詳しい説明を聞き、工房見学で竹の知識を深めてから製作にとりかかります。

竹の種類や油抜きの方法など、丁寧に教えてくれる

体験で製作する竹製品が展示されておりイメージしやすい

ワークショップでは、竹籠編み体験・竹のお箸削り体験・竹の指輪編み体験ができます。体験は工房のほか、イベントや出張もしてもらえますので、詳しくは長岡銘竹にお問い合わせください。

[京都亀岡]竹製品製作体験 竹工芸WORKSHOP(ワークショップ )

竹の可能性は無限大!竹で世界中を笑顔にしたい

左・真下彰宏さん、右・屋嘉部佳香さん

今回取材に応じてくださったのは、真下彰宏(ましも あきひろ・写真左)さんと、屋嘉部佳香(やかべよしか・写真右)さん。真下さんは竹に魅力を感じ、京都伝統工芸専門校で竹工芸を学んだあと、長岡銘竹に入社しました。

入社以来、先代の三島一郎氏に師事し、竹工芸職人として勤しみました。これまでの主な仕事は、桂離宮、京都迎賓館、平安神宮、松花堂庭園などでの竹垣製作。その仕事ぶりが評価され、2015年3月「京もの認定工芸士」に認定されました。竹工芸職人で京もの認定工芸士に選ばれるのは珍しく、真下さんは3人目。竹垣・丸竹加工の職人では初めて認定されたそうです。

2016年からは、アメリカやイタリアで竹垣の製作実演や、ワークショップもスタートさせました。また2020年のコロナ禍では、新しいデザインの竹垣制作をはじめ、竹林整備活動や竹あかり、SDGsで繋がるアドベンチャーワールドとの商品開発に着手。メディア出演や企業とのコラボで、竹の魅力を幅広く伝える活動を積極的におこなっています。
2021年に三代目代表取締役に就任し、会社を切り盛りしています。

屋嘉部さんは入社1年目ですが、施工やワークショップの案内、海外出張にも同行しています。新入社員なのにめっちゃ有能な方だと驚いていると、京都伝統工芸専門校に通っていた頃から長岡銘竹でアルバイトをされていて、3年の経験があるのだそう。真下さんからの信頼もあり、新卒ながら幅広い仕事を担っています。

屋嘉部さん竹の説明や竹を割る作業など手際がよくて、若いながらも立派な職人さん。しかも熱量高く、楽しそうに竹を語る姿が印象的でした。

竹っておもしろいんですよ!とイキイキ作業をする屋嘉部さん

生活環境の変化により、竹垣の施工は年々減少傾向で、今では”竹は特別なもの”になってしまったと真下さんは語ります。ですが、竹は成長スピードの早さ・繁殖力の強さ・活用の幅が広いことから、有力な資源のひとつとして近年注目されています。しなやかで強い竹は、古くからさまざまな方法で取り入れられ、暮らしの身近な存在でもあります。

竹について説明する真下さん

実は竹はまだ解明されていない部分が多く、新たな可能性を秘めているのだそう。研究が進み、新たな竹の魅力や活用法が見つかるかもしれません。

真下さんはカトラリーなどの小物で竹を身近に感じてもらい、ワークショップでは、竹はさまざまな加工ができることを知ってほしいといいます。

またそれらの活動を通して、竹の魅力を伝えたい、ファンを増やしたいと考えています。
竹で世界中を笑顔に、世界中に竹垣を作りたいというのが、真下さんのこれからの想いです。

「竹のスプーンで食べたら、安物のアイスクリームでも感動するぐらいおいしく感じるからぜひ試してほしいです」と力強く語っていた真下さん。カトラリーひとつで味わいが変わるなら、試さない手はありませんね!たくさんの方に手に取っていただき、竹カトラリーの良さを感じていただきたいです。

おわりに

取材後、ユニフォームのロゴを写したくて、後ろを向いていただき撮影しました。自分の好きなアイテム(真下さんパーカー、屋嘉部さんトレーナー)にプリントして着用するそうです。竹なのがわかりますしおしゃれですよね。

これからのご活躍を楽しみにしております!

お二人ともユニフォームがとてもお似合いでした!

竹の魅力をたくさん教えていただきありがとうございました!

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