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銘木を現代の暮らしに。木の一生を、作品に活かす。

 

馳平益由さんの工房を訪問しました!
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一つとして同じもののない、銘木の世界。何百年の年月を経て育った木を、また何十年とかけ乾燥させ、製品となる。年月と手間が生み出す風合いは、ずっと使っていきたい、得も言われぬやすらぎがあります。
南丹市美山町(当時は北桑田郡美山町)で育った馳平さん。お父様が林業家だったこともあり、木は身近な素材でした。子どもの頃から山とともに暮らし、木の仕事をしようと、自宅横に作業場を作り木工作品づくりをスタートさせます。自分で山へ行って、気に入った木を一本釣り。山の持ち主を探して交渉し、自ら木を切り出して運びます。何百年とかけて育った木は、一筋縄では作品にできません。重い物は山に置いて乾燥させ、軽くしてから運び出し。それでも、4、5人がかりの重労働です。
若くして開業した馳平さん。始めのうちは若いという理由で買い叩かれたので、早く年をとりたかったといいます。精力的に制作活動に打ち込み、どんどん制作しては売りに出る日々。デパートやお店に卸したり、販売会を開催したり。東京と九州で同時に開催したことや、国際見本市に出したことも。家具が沢山売れる時代で、安いものは作らず、自然と高額になる、大きな良いものをどんどん作っていました。会社として従業員も雇入れ、生産していきます。そんなスピード感がありながらも、じっくり乾燥、加工した銘木を、確かな技術で仕上げる。その基本は、ずっと変わらずにあります。
時代は移り変わり、大きな家具類よりも小物の時代に。小さい卓上箪笥や、銘々皿やコーヒーカップ、箸、菓子切りなど、今までの技術を活かしながら、今売れるものを考え、製品ラインナップを増やしています。素材を年単位で寝かさないとできない仕事で、どんどん時代を読んで作っていくのは至難の業。それでも、沢山の人に手にとってもらいたいと、努力を続けておられます。最近は塗香や線香の入れ物にも挑戦。客層を増やしています。
何百年経ってできた木の、唯一の木目を大切に使いたい。その気持が馳平さんを動かします。夜に残る良いものを作って、良い人に使っていってもらいたい。賞をとってデパートで並べて、という方法もあるけれど、約8割をオーダーメイドで受注し、しっかりと良いものを世に送り出し続けることを大切にされています。そんな馳平さんのもとで、今でも、とっておきの銘木が、何十年の眠りから覚める日を、工房で待っています。

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